母は僕に対して一度も嘘をついたことがない。もちろん、妹にも弟にも。いつも真摯だ。
そして母の幼少時代は、下の兄弟たちが外でいじめられていると、猛然と怒って追いかけてってやっつけたらしい。NHK朝ドラ「スカーレット」のヒロイン喜美子の少女時代そのまんま。家の手伝いは何でもして、5人兄弟の大家族の中で、下の兄弟の面倒はすべて見た。戦中戦後の貧しい時代を、絵に描いたように精錬潔癖に生き抜いてきた。そんな母を僕は心から尊敬している。
そんな血が僕にも強く流れている。だから、不正だとか不公平なことをどうしても許せない。声を上げずにいられない。それもあって、集団の中では浮いてしまう。でも、それは全く問題ではない。自分が自分の正しいと思うとおりに生きて、自分の生き方に誇りが持てるかどうかが問題だ。もし自分自身の生き方に誇りが持てなければ、こんなところであれこれ発信する資格はないし、僕が自分の作った曲に込めたメッセージがぜんぶ無意味なガラクタになってしまう。
そういう実直な血は妹にも流れている。
やっぱり血というものは噓をつかない。