ごめん。月曜日の話はまだ終わっちゃいなかった。
週に一度デイケアサービスに行くから、この月曜日を中心に一週間が周る。
体を動かせば筋肉が疲労する。筋肉が疲労すれば乳酸が溜まる。乳酸が溜まると筋肉痛になる。
だから運動の後にはクールダウンが必要だ。
そのクールダウンでいちばん手っ取り早く効果的なのが、風呂に入ることだ。体を温めることによって代謝を促し、体内の老廃物が排出されていく。乳酸も排出されて、疲れが後を引かなくなる。
僕は20代後半になったあたりから、仕事の後は毎日風呂に入った。筋肉痛にならないためだ。
高校生の頃なんか、ひと月に一度も風呂に入らない少年だった。風呂に入るなんて熱いだけで、何のために入るのかさっぱりわからなかった。何しろあの頃は10代の凄まじい回復力があったから、体育の時間に校庭を何十周もして足が痛くなっても、翌日にはすっきり回復していた。クールダウンの必要なんか無かった。
それが年を取れば取るほど、回復力がみるみる衰えていった。
86歳になった母ならば、いくら若い頃に運動部だったからといえ、いくら年の割りに体がかなり丈夫とはいえ、運動の後に風呂に入らなければ、必ず筋肉痛そして神経痛になる。水曜日・木曜日あたりになると、痛い痛いと言う。そのたびに僕は
「母さん、風呂入ろう!」
と言う。
すると母は頑なに拒む。風邪を引いていないのに、風邪引いてるから入れないと言う。
そして、「風呂を嫌がる」というのが、認知症の特徴のひとつなのだ。実際に認知機能が衰えると、本当にみんな同じように風呂を嫌がるようになるんだって。
さて、この日2月17日の月曜日、母は風呂に入ってくれた。母さん、どうもありがとう。