昨年公開されたエルトン・ジョンの伝記映画「ロケットマン」挿入歌の「(I’m Gonna) Love Me Again」がアカデミー賞の最優秀歌曲賞を受賞した。
そしてこの映画「ロケットマン」を昨年僕は劇場で二回観た。そしてこの時受けた感銘が、滞っていた僕の新アルバムの制作進行を活気づけ、正しい方向へと向かわせた。
アカデミー受賞曲に対する印象は僕にはないんだけど、中学生高校生の頃に好きだったエルトン・ジョンのキラ星のような名曲郡を、令和の今新しいアレンジと声で聴いて、改めてエルトンの楽曲の素晴らしさを思い出した。燦然と輝くスーパースターだったエルトン・ジョンに憧れていた10代の少年の気持ちに戻った。そして、そもそも僕が美しい音楽に拘り続けていたのに、リリース作品に美しさを全く表現できていなかったことに気づいた。
昨年暮れから、アルバム全10曲中の8曲をテンポを変えて歌を録りなおしはじめた。僕が奏でている美しいメロディーを、今度こそきちんと表現してやろう。自分の声を美しいスタイルに変えて歌おう。
2011年から2017年までライブ中心に活動していた中でしみついた悪い癖にやっと気づいた。ライブ現場の音場に合わせるために、中低音ばかり強調するSM58に声が入るようにするようにしなくてはならなかった。ハウらないようにするために声の音圧も上げなくてはならなかった。その結果、僕は自分の声の美しいトーンを捨てて歌っていた。繊細なポップスを歌う声ではなくて、野太いフォークを歌う声に変えなくてはならなかった。
しかし今はライブはやっていない。外に音を出さずヘッドフォンでモニターをしてコンデンサーマイクとマイクプリアンプを使って録音するベッドルームスタジオでは、ライブ会場のようなハウリングは起きない。自分の声の中に在る美しいトーンを引き出した歌い方ができる環境だ。今度はきちんと自分の音楽を表現しよう!
映画「ロケットマン」を観なければ、この気づきは起きなかっただろうね。自分が本来向かうべき方向に自分自身を導き直すこともできなかったかも知れない。
僕が選ぶアカデミー賞最優秀作品賞は、「ロケットマン」だ。