中学校1年の時だけバスケット部に入っていた。
毎日授業が終わると校庭のバスケットコートで練習があった。
僕たちがグラウンドを走っていたりシュート練習をしている時に、校内放送でよく流れていたのがカーペンターズだった。
当時の日本ではむちゃくちゃ流行っていた。日本人にとってはいちばん親しみ深い洋楽アーティストがカーペンターズだったんじゃないかなあ。
ワビサビというか、しんみりする感じというか、そういうのが日本人の心にピンと来たんじゃないかなあ。
さて、その頃放送部には僕の好きな女の子がいた。その子は吹奏楽部員でもあった。そしてカーペンターズが大好きだった。
僕とその子はビートルズとカーペンターズの「どっちが凄いか論争」を日常的に繰り広げた。
「カーペンターズの方が歌うまいわよ」
「何言ってんの。カーペンターズは自分たちで曲をほとんど作ってないじゃん。ビートルズは数限りない名曲を大量に生み出したんだぞ」
「カーペンターズはアレンジが凄いのよ」
こんな感じだ。
若いなあ。青春の入り口に立っていたのさ。
話戻り、バスケットの練習をしながら、しみじみいい曲だなあと耳を奪われていたのがこの曲だった。
レオン・ラッセルのオリジナル・ヴァージョンとは全然印象が違うんだ。ソフィスケーテッドされていてこれぞポップ・バラードという感じ。全てが調和されて整理されて美しく響くサウンドイメージだ。
確かに名アレンジなんだ。
あの子はいい耳していたんだ!