カセットテープレコーダーを買ってもらった。そして1階の居間にはビクターのステレオセットが置いてあった。フューダーアンテナというビニールの紐みたいなのを伸ばせば雑音がかなり入るけどFM放送を一応はステレオ(左と右に音が分かれた状態)で受信できた。
僕の部屋のカセットテープレコーダーを今にもって行き、ステレオピンプラグでつないで、ステレオセットでFM放送を受信して、曲が掛かったら録音する。こうすれば、お気に入りの曲をいつでも聴けるじゃないか!
今では笑っちゃうくらいあたりまえのことだが、当時としてはなかなか凄いことだった。FM受信機器とテープレコーダーを持つ者だけに与えられた特権だった。
FM番組表は「FMレコパル」というFM雑誌で入手した。
こうして興味のある曲が掛かりそうな番組になるとFM放送をつけてテープレコーダーの前にスタンバイして準備する。曲の頭から綺麗に録音するためにはディスクジョッキーが曲名を読み上げ終わった一瞬のタイミングで赤い録音ボタンを押さなくてはならない。息を潜めて全神経を集中させてスタンバイの日々が始まった。
当時はFM放送から音楽を録音してテープに録りだめることを「エアチェック」と呼んでいたなあ。