生まれて初めて買ったレコードは子供の頃に買ったウルトラマンとか仮面ライダーの主題歌ソノシートだった。
生まれて初めて買ったシングル盤は「燃えよドラゴン」オリジナル・サウンドトラックだった。
そして生まれて初めて買ったLP盤がビートルズ「HELP!」だった。
僕とビートルズの出会いは・・・・出会いではないが幼少期に東芝ステレオのCMソングとしてビートルズ「LET IT BE」が流れていた。髪の長い眼鏡のおっさんが「フェリピーーーーーン」と歌っているやけに心に残るメロディーではあったが、その頃に僕にとってはビートルズよりもギャートルズの方が圧倒的にメジャーだった。
というよりも、ビートルズなんか知らんし。
こんな中で過ごしていた中学1年の夏ぐらいだっただろうか。バスケット部の練習の後で疲れていた僕はいつものように今のテレビの前に寝っ転がった。何かいいテレビ番組なっかなあと新聞のテレビ欄を探した。「イエローサブマリン?アニメーションて書いてある。マンガか。ビートルズ?誰だっけ。まあいいや。マンガだから見てみるか」
入れてみたら、サイケなイラストレーションでなんか難解でとっつきにくい。マンガとは違うなあ。
でも、疲れた体を休めながらボーっとして見ているうちに、けっこう音楽がいい事に気づいた。さらに見ているうちに、どんどん音楽に耳が吸い寄せられていった。
後半に主題歌「イエロー・サブマリン」が掛かる頃にはすっかり気に入っていた。「ビートルズっていいじゃん!」と思ったが、その時はレコードを買いに行こうという欲求も発想もなかった。
それからニ、三ヵ月後、新聞のテレビ欄にビートルズの映画の名前があった。この前のビートルズの音楽がけっこう良かったから、また聴いてみたくなった。
映画「HELP!」が始まった。カンフー映画でもモンスター映画でもない実写版の外国映画なんてその頃の僕は興味なかったから、出だしはまったくつまらなかった。
しかし、途中でスタジオに入って4人が演奏するという設定でのシーンになると、がらり印象が変わった。映画「イエロー・サブマリン」とは違うシャカシャカしたアップテンポな音楽と躍動感のある4人の動きと表情と佇まい。これが本格的にガツンと来た。
映画が終わると、早速僕はレコード店にビートルズのレコードを買いに行った。買って来たのは、やっぱり「HELP」だった。聴きまくった。
「イエロー・サブマリン」ではイマイチだったのが、「HELP!」ではビートルズの4人のビジュアルがガツンと来た。音楽に映像が加わると如何に強力になるか、そしてポップスにビジュアルが如何に深く係わり影響するかという事を、僕はその時に身を持って体験した。