映画「戦場のメリークリスマス」が公開されたのが1983年。僕が新宿の映画館で観たのが翌年の1984年だった。僕が23歳。そして数日前に安全地帯「恋の予感」について書いた時に僕の片想いに触れたが(←クリック)、その片想いが始まった時とほぼ被っている。
そういうこともあり、こんな事を思い出した。
「戦場のメリークリスマス」劇中に、綺麗な森林風景の中に金髪の少女の後姿が映る。バックには澄み切ったボーイ・ソプラノの歌声が鳴っている。幻想的なシーンだ。
その金髪の少女の可憐で清楚なイメージが当時片想いしていた女の子と重なってしまった。
今考えると、何を見ても片思い中の女の子の事を思い浮かべてしまうような状態だったんだと思う。夢中だったんだなあ。
「戦場のメリークリスマス」のテーマ曲であるサウンドトラック盤「Merry Christmas, Mr Lawrence」が発表された時は、全世界が驚愕したんじゃないかな。前衛的・先進的なイメージが強かった坂本さんからこんな美しい音楽が生み出されてきたんだから。若い頃に影響を受けたと自ら語るドビュッシーにも通じる幻想的な美しさ。
ただ、当時僕23歳だった僕の耳にはこの曲は変わらず前衛的な音に聴こえていた。エスニックな音を取り入れたサウンドは当時はまだまだ目新しかったせいかもしれない。ストリング系のアナログシンセサウンドはYMO時代から聴き慣れた教授スタイルそのものだったし。
時代の経過とともに音楽がどんどんジャンルレスで混ざり合った後の2021年に今年還暦を迎える僕の耳には、とてもノスタルジックで完璧に緻密に整理されたただただ美しい曲に聴こえてしまう。